麻生太郎内閣総理大臣に対する提言書を内閣府及び防衛省に手交

●平成20年11月21日(金)●
【麻生太郎内閣総理大臣に対する提言書を手交】

十一月二十一日、
麻生太郎内閣総理大臣に対する八ヶ条の提言書を手交いたしました。



内閣総理大臣に対する八か条の提言と「第二の栗栖問題」における所感

   ヤルタ・ポツダム体制の打倒を掲げ、日本民族派運動を担う我々は、
防衛省による田母神俊雄前空幕長の解任に際し、自衛隊の建軍の本義を明らかにさせるため、
麻生太郎内閣総理大臣及び浜田靖一防衛大臣への国防政策の提言を謹んで申し上げる。

 来る十一月二十五日は、三島由紀夫、森田必勝両烈士が「憲法改正・自衛隊国軍化・自主独立」を訴え、
生命尊重以上の価値を示し割腹自裁を遂げた行動提起より三十八年目を迎える。
我々は、両烈士の身命を賭した思想と行動を改めて想起するとともに、防衛庁が省に格上げされた今日こそ、
憲法改正への道筋を断固として展開しなければならない秋であると認識する。

 はじめに、田母神前空幕長の論文内容について我々はこれを「第二の栗栖問題」と規定し、所感を述べさせて頂く。
 わが国の近現代における対外戦争を「自虐史観」から取り戻すべく、
歴史解釈の修正を提起する内容の論文を外部に発表したという理由で、田母神前空幕長が解任された。
「政府見解と異なる発言」「文民統制を逸脱するものだ」「内部手続きを経ていない」等々の事から、
職を解かれる人事が発令された。この事は統治行為の立場からみれば、致し方ない対応なのかもしれない。
現下の自衛隊を取り巻く環境からすれば、「突破者は排除してしまえ」と、言わんばかりの扱いでもある。
 しかしながら相次ぐ海外派遣などにより、自らの本来の存在意義に疑問を感じる自衛隊隊員が増えてきた昨今、
自衛隊の本義である建軍の精神を明らかにしようとする自衛官の行動を我々は高く評価し、敬意を表するものである。
従って田母神前空幕長の問題提起の意図するところは、
まさに自衛隊を建軍の本義に基づいた国軍に蘇生させるための主張であったと我々は認識する。
 もちろん「航空自衛隊のトップである人物が国の見解と異なる意見を述べるのは立場上不適切である
」という文民統制の論理には頷けるものの、
その根拠となった政府見解の村山談話こそ「自社さきがけ政権」の党利党略によって国益と国家百年の大計を否定し、
当時下野していた自民党が政権奪回を果たすために社会党と売国の取引をした事実に他ならないのだ。
 そのような政治取引の産物で作られた極めて脆弱かつ、
対象者に対しても誠意が示されない中途半端な内容にすぎない談話を錦の御旗に据えている文民統制に、
どれほどの価値があるといえるのか。このような薄汚さの中で作られた談話と歴史観は、
わが国の将来にとって禍根を残す事に違いない。
それを払拭しようとする声が自衛官の側から上がるのは当然ではないのか。

 田母神前空幕長のこれらの声は、防人として国防の最前線に立つ責任者という観点から、
かような問題意識が提示されたのである。まさにこの事は、
本来ならば国家国民の生命財産身体を守るべき立場にある政治家の無責任性と反比例するが如く、
提起されている問題なのである。
 田母神前空幕長の更迭について、「これこそ文民統制だ」と浜田防衛大臣は述べた。
だが、文民統制とは果たして如何なるものなのか。字句どおり解釈するならば、「政治における軍への制御」である。
しかしながら、再三述べるが、制御すべき側の政治家にそれだけの技量と資格があるだろうか。
到底否と言わざるを得ない。
 言うまでもなく首相は、自衛隊の最高指揮監督権を有する。
ところがその首相職にあった安倍晋三、福田康夫と二代続けて突然の政権投げ出しを行い、
未だ無責任にも内外に対し総括をしていないのである。
これは安全保障に於いて、即ち政治家による自衛隊に対しての文民統制の放棄と言っても過言ではない。
「首相が三軍の長の職責を全うするのは、選挙によって国民の負託を受け、責任を負っているから。
自衛官が自らの思想信条で政治をただそうというのは、
憲法の精神に真っ向から反している」と防衛大臣を務めた石破茂氏は述べた。
だが、その負託を受けている首相や政治家が、このような体たらくで職責を果たさないのであれば、
それこそ憲法の精神の否定に繋がるのではないか。
イラク特措法で、陸上自衛隊はサマワキャンプへ派遣され、任務を遂行してきた。
しかしながら、当時の首相であった小泉純一郎は、自衛隊員に対する激励訪問をしていない。
このようなことで自衛官が政治家に疑問を持つ事は自然であり、士気が上がるとは思えないのである。
 また、自衛隊の武器使用の基準についても十年一日の如くであり、全く議論がされていない。
自衛官が派遣されるにもかかわらず、その人命を軽んじ、危険地域に送り出すだけである。
さらに対外的な国威を担っている国際貢献においても、余りに政治家に自覚が足りなすぎるのではないか。
 そのような国家観なき政治にあるのは、唯一自己保身のための選挙における大衆迎合と、
議員の地位に恋々とする姿勢でしかない。
今回の田母神空幕長の論文を受け、「臭いものには蓋をしよう。まず罷免ありきだ」
との発想がまさにその典型といえるのではないか。
命をかけて国防を担っている現場の自衛官が、
国を守るという重要な使命に誇りがもてなくなっては国の行く末もおぼつかないのである。
 かつて統幕議長だった栗栖弘臣氏は昭和五十三年、自衛隊法の欠陥をついた防衛出動における問題を提起し、
「超法規発言」で更迭された。今日まで三十年経っても、自衛隊隊員の法的地位が明確にされないばかりか、
「国家緊急権」すらない状態である。
 我々は、斯様な状況を異常と認識し、田母神前空幕長を第二の栗栖氏と感じる次第である。
今回は、「歴史問題」が焦点になっているため、必ずしも栗栖氏と同列の問題とはいいがたい。
しかしながら、真の根本は対米従属路線によって生み出された「自衛隊の存在意義」に対する
自衛隊隊員の軍隊としてのアイデンティティが保てなくなっているという現実ではないか。  田母神前空幕長の一件により、防衛省内局は、自衛隊隊員に対する思想チェックを施すであろう。
しかし問題は、個人の信条をチェックすることではなく、自衛隊が構造的に憲法を改正して認められることであり、
通常の国家としての防人の地位が保全されることに尽きるのである。
 以上のことを踏まえ、田母神前空幕長に対する所感を述べるとともに、
我々は内閣総理大臣・防衛大臣に対する左記の八か条の提言を謹んで申し上げる。



	一、観閲式を皇居前広場で実施せよ!
 我々は、自衛官の観閲式を皇居前広場で実施される事を要望する。
現在、陸上自衛隊の観閲式は、埼玉県の朝霞駐屯地において行われている。
埼玉県を等閑視するものではないが、国防という観点からは、皇居前において自衛官が颯爽と行進する事によって、
名誉、地位を保全され士気が増すと思われる。
朝霞などの限られた空間で整理券を配布して会場整備を限定するのではなく、
多少の警備上の範囲は広がるものの、多くの国民が観閲式で自衛隊に直に触れることで、
国防への理解が得られるものと考える。


一、憲法第九条を自主的に即刻改正せよ!
 国民の生命財産の保護を放棄している憲法九条は即刻解体し、自衛隊を国軍として明記せよ。
現状では自衛隊を示す「Self Defense Force」という英語表記では、
ジュネーブ条約における捕虜の待遇が受けられず、拷問を受ける恐れすらある。
これでは、武人としての名誉が与えられないも同然である。
果たして、今後海外派遣などにより、自衛隊員の捕虜が出た場合は政府としてどう対応するつもりなのか。
日本政府は、現行憲法第九条には、「国権の発動する武力行使としての交戦権」が否定されていながら、
戦時法ともいうべきジュネーブ条約を締結している。
これまでその理由を「防衛出動などの自衛権の行使に当てはまる」としてきたが、
海外派遣が本格化すればごまかしが効かない。
すでに何人かの閣僚が発言しているように、自衛隊は「国際法上は軍隊」とする明確な立場を示すべきである。
もはや、玉虫色にして曖昧にしておくのはよくないのではないか。
今までもアーミテージ元国務副長官やジョセフ・ナイ元国防次官補といったアメリカの高官が、
従来の安保条約の想定を大幅に逸脱し、
「憲法九条を改正しろ」などといったわが国への内政干渉にあたる発言をしている。
弊会も九条を解体すべきだという立場である。
しかしながら、それでもこのような外圧を受け入れるようなことは認められない。
たとえ、それが有効性を持ったとしても、他国の内政干渉を許してはならない。
である以上、なおさら他国から九条を変えろといわれるまでもなく、
自分達の手で九条を改正し、自主的な国防体制を築いていかなければならないのである。
以上、憲法第九条の一日も早い改正を求める。


一、妥協の産物である意味不明な自衛隊用語を改めよ!
 自衛隊用語は、我々一般人にはおおよそ理解しがたいものである。
例えば、砲兵=特科 歩兵=普通科 工兵=施設科 参謀本部・軍令部=幕僚監部 将校=幹部 軍艦=護衛艦 等だ。
名は体を表すという。早急に、改めるよう動くべきだ。
また、本来ならば「防衛省」ではなく、「国防省」と名づけるよう再考を促したい。
自衛隊員の階級呼称も一佐、二佐などではなく、
大佐、中佐等の階級呼称をすべて旧軍で呼称していたものに戻すべきである。


一、業者との癒着の根絶と、機密保持を徹底せよ!
 自衛隊の装備品調達をめぐる防衛省汚職事件は、去る十一月五日に東京地裁で、
「渦中の人」である守屋武昌前防衛次官、山田洋行の宮崎元伸元専務らに実刑判決が下されるに至った。
このような問題が二度と起きぬよう、防衛省の組織改革を全力で行わなければならない。
また、同事件が地裁などで審議されることは、機密上の漏洩を招く事が当然であり、
腐敗防止とともに、機密保持を徹底して行わなければならない。
さらに、自衛隊員の士気低下に繋がるため、この点も真剣に対策を考える必要がある。


一、憲法七十六条第二項を改正せよ!
 軍隊として戦う為に必要な「軍法会議」の設置を要求する。
憲法第七十六条第二項で「特別裁判所設置が禁止されている」ことは承知しているが、
軍法会議がないと、軍の独自性は保てない。ましてや指揮系統が上手く運用出来ない恐れがある。
自衛隊を戦える軍隊とするためにも、引き続き法整備を行うよう要求する。
特に、作戦の指揮命令系統を保持し、利敵、密通行為を防ぐためには軍法会議の制定は必要不可欠だと考える。


一、「国家緊急権」の制定を行うよう要求する!
 国家の平和と独立を脅かす「急迫不正」の事態、または予測される事態に際して、
一刻も早い対応が必要と判断された場合においては、憲法の一部を停止する超法規的な措置を取らざるを得ない。
しかしながら、この問題はあくまでも時限として活用されなければならない。


  一、大義無き海外派遣は行うな! 
 我々は、小泉前首相の対米従属による中途半端な自衛隊のイラク派遣に真っ向から反対してきた。
それは、イラクを攻撃する大義がまったくなかったからである。
これは今のアメリカを見れば十分わかるように、政治的な敗北だと言えよう。
また、イラクのサマワに派遣された自衛隊を軍隊でありながら国内法整備等の都合により、
他国の軍隊に守られて任務を遂行しなければならないという屈辱的な立場に追いやったことは、
存在意義の否定へと繋がりかねない。
こんな無責任な政治家が対米追随の為、
自衛隊派遣という名の下に建設作業員と見間違えるような不名誉を与えた事に怒りを感じている。
今後、このような不名誉を引き起こす自衛隊法第三条改正には、断固反対するよう求める。
それは再び、大義のないアメリカ追従の轍からわが国を脱却せしむる為である。


一、総理大臣、防衛大臣は即刻対馬への視察訪問を実施せよ!
 すでに対馬に於いては、新聞等報道にあるように、
韓国人による島内の不動産買収や日本国法令を乱す不法行為がまかりとおっている。
また、韓国人旅行者に於いては、対馬は「韓国領だ」などと言いながら入国してくるなど、
とても友好的とはいえない状況である。韓国国会でさえも、竹島問題から目を逸らさせるために、
殊更に対馬=韓国領の宣言を発議までしているという斯様な状況の時に、今こそ総理大臣ないし総理大臣は対馬を視察し、
日本国領土であることを内外に示し、島民を安寧させ、竹島奪回への国民的世論を喚起していかなければならない。


 以上、右提言する。

   平成二十年十一月二十一日 

    内閣総理大臣  麻生太郎殿
 日本民族派団体 一水会



詳細につきましては、レコンキスタ355号で報告します。